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乾 善彦

乾 善彦 Yoshihiko Inui
古代語・日本語史研究
学術情報システム

研究分野
 国語学の中でも、とくに文字論・文字史に興味があります。なぜ、現代日本語の表記は、漢字ひらがな交じりの方法をとるのでしょうか?漢字は表語文字(表意文字)だから、意味がわかって便利だと皆さん答えますが、英語にしても、韓国語にしても、表語文字(表意文字)を使わなくても、何不自由なく書くことが成立しています。理由が考えられるとしたら、それは日本語を書こうとした人々が、漢字と格闘してきた歴史の中にあると思います。そんなところが、文字を扱うことの魅力です。こんな、何気ないことに疑問を持つことから、研究ははじまるのです。

ここが楽しい!ここがうれしい!
 我々が日常使っている文字は、ローマ字を除いても、漢字・片仮名・平仮名の三種があります。三種類もの文字を使いこなして通常の言語生活を営んでいるのは、広い世界を見渡しても日本だけのことです。それでは、日本ではなぜ三種類もの文字を使っているのでしょうか。隣国の朝鮮半島では15世紀にハングルという独自の文字が考案され、それだけで自分のことばを書くことができるのに、日本では独自の文字である仮名を生み出しながら、どうして仮名だけで、ことばを書かないのでしょうか。このように日常生活では、何の疑問も感じないで見過ごしているような現象を、ことばの面から「なぜ」という目で見つめ直してみるのも楽しいものです。

ゼミ紹介
 近年、古代語の景観は大きく変化しています。それは、毎年大量に出土する木簡によって、それらから知られる「ことば」や「言語生活」が、それまで、記紀万葉を主な資料として見てきたのとは、大きな違いがあることがわかってきたからです。当然、記紀万葉などの資料性も、見直しが必要となってきました。古代語のゼミでは、そんな観点から、記紀万葉風土記など、文献資料の見直しをおこないます。具体的には、風土記をとりあげて、地名起源説話にまつわる日本語表記の方法や当時の音韻意識を考えたり、あるいは万葉集を取り上げて、文字表現の工夫を考えたりしたいと思います。また、漢字の日本的な用法については、近世の字体意識も含めて考えています。江戸時代の版本をよむのも楽しいものです。

卒業論文題目
○東海道中膝栗毛における江戸と上方の一人称二人称代名詞
○女性ファッション誌における漢字語の仮名表記化
○日韓の使役・受身表現の違い
○関西大学キャンパスことば
○飲食店紹介文のオノマトペ ―3つの用法における特徴と効果―
○子供の命名と漢字の用法