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森 勇太

森 勇太 Yuta Mori
近代語・日本語史研究
⇒学術情報システム

研究分野
 「歴史語用論」という研究分野に取り組んでいます。今と昔では使われる言葉が違っていて、現代では「給ふ」を使わず、「下さる」を使うというようなことはよく知られています。それと同様に、言葉の「使い方」のルールも今と昔では違います。例えば、現代で目上の人と話す場合は必ず丁寧語「です」「ます」を使いますが、平安時代の丁寧語は現代よりももっと使用場面が限られていたようです。このように、敬語ややりもらい表現の歴史を手がかりとして、日本人が丁寧に言葉を用いようとするときにどのように言葉を使ってきたか、「ことばの使い方のルール」の歴史を明らかにしようと考えています。

ここが楽しい!ここがうれしい!
 日本語は歴史をたどるのにとても恵まれている言語です。日本語では、奈良時代から現代まで約1300年のことばを調べる資料が多く残っています。比較的政治が安定していたことにより文化が花開き、多くの資料が現代にまで伝わっています。実はこのことは当たり前のことではありません。民族間の領土争いが多かった欧米では、あまり文献が残っていないところも多いようです。
 また、言語の歴史を調べるのは、必ずしも文献だけからではありません。現代の各地方言も日本語の歴史的なありようを私たちに伝えてくれます。琉球諸方言と奈良時代語の近さも注目されていて、今では日本語と韓国語の共通の祖先となる言葉をたどろうとするところまで研究の射程が広がっています。
近年世界の言語の多様性に目が向けられるようになっていますが、歴史資料の豊富な日本語は世界の研究者から注目を集めています。日本語の歴史を明らかにすることには、世界の歴史言語学をリードできる可能性を秘められています。国語学は、実はとても国際性のある学問分野です。

ゼミ紹介
 中世・近世の文献を読みながら、日本語の文法・語彙の歴史について調査する手法を学びます。この時代は、国語(古典)の授業でなじみ深い平安時代の文法から現代語の文法に変化するまでの重要な転換点です。文献を丁寧に読むことを出発点として、言葉のダイナミックな変化を追っていきたいと思います。